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課題発見力の足りない看護職がとる4つの行動

社会人基礎力

 社会人基礎力の能力要素の一つである「課題発見力」

 看護職に取って課題発見力とはどのように役立つのでしょうか

課題発見力とは

 課題発見力とは「目的や課題を明らかにする力」のことです。

 看護職における、課題発見力とは次の2点を意味します

  1. 看護対象の健康問題を考える
  2. 組織での役割や課題を見つける

 看護職は体力的・精神的にきつい仕事と世間一般ではイメージされていますが、実のところ知的労働、要するに「考える仕事」がその大半を占めているとも言えます。

課題発見力の足りない人

 結論から言うと、課題発見力が低い人は物事に対する問題意識が低いです。

 なんでもかんでも問題視することが良いことだとは言いませんが、大なり小なり問題は潜んでいると意識すること、その上で行動できるのとできないのとでは大きな違いがあります。

 看護職は知的労働者であり、課題発見力は必須の能力と言えますが、誰しもがその能力を十分にに備えているとは言えません。

 そもそも社会人基礎力自体、今の日本の義務教育では教えてこられなかった分野ですので、能力が低くて当たり前だとも言えます。

 では、自分に課題発見力が備わっているのか把握するためにはどうしたらいいのか。

  結論を言えば「課題発見力の足りない人がとる行動」と自分を照らし合わせてみればわかります。

 課題発見力の足りない人が取りやすい行動は次の4つです。

  1. 問題に気づかない
  2. 問題に気づいても深く考えない
  3. 思い付きで課題や目標を設定する
  4. 短絡的な解決策に走る

課題発見力が足りない人がとる4つの行動

 事例を通して考えてみます。事例内容は以下の通り。

 『消化管の手術を受けた患者さん。創部に硬膜外麻酔とドレーンが留置され帰室。手術後1日目。顔をしかめて、額には汗をかいており、腹部に手を添えていた。バイタルサインに異常はない。』

 ざっくりした事例ですが、これを課題発見力が足りない人の視点で考えてみます

 1.問題に気づかない人は、そもそも患者を看ていない

 問題に気づかない人というのは、日頃から問題意識がとても低い人です。問題意識とは「これは問題だ」とすぐにわかるのではなく「なにか変だ」という感覚的な部分から思考が始まります

 事例の場合なら、問題に気づかないのだからそもそも患者は「異常なし」と捉えてしまうでしょう。

 2.問題に気づいても深く考えない人は、表面的な部分でしか見ていない

 問題に気づきはすれど、深く考えない人は「詳しく調べる能力」が養われていないことが多いです。

 事例の場合、この段階の人ならば恐らく「患者は痛がっている」という所までたどり着きます。しかし、「どうして痛いのか?」という本質の部分にまでは考えが及びません。

 そのため取る行動としては、、、

  • 「手術後なので痛みがでるのは当然だろう」と考え、バイタルサインに異常はないからと様子観察する
  • 「硬膜外麻酔を使って持続的に鎮痛を図っているから大丈夫」と判断して様子観察する 

 と言った具合いでしょうか。いずれにしろ「問題解決のための積極的な行動」には結びつかない場合が多いです。

 もしかしたら創部が離開して出血しているのかもしれない、あるいは創部の感染が起こっているのかもしれない。鎮痛剤がきちんと投与されていないかもしれない。そう考えられればドレーンの廃液が増えていないか、創部から出血していないか、硬膜外麻酔に異常はないかなど更に範囲を広げて調べていけるでしょう。

 3.思い付きで課題を設定する人は、本来の目的が見えていない

 問題意識をもって深く考えられるようになれば、より積極的なケアへと結びつけられるようになります。しかし、問題が明確になっても課題や目標の吟味ができていないと、本質の部分では解決には至らないことがあります。

 この場合、多くの人は疼痛の除去を目的として介入するでしょう。しかし、「何のために」という部分はその時々の状況により大きく変わります。この「何のために」の部分が本来の目的であり目標になるわけですね。離床を進めるため?十分な休息を確保するため?理由は様々です。

 今クリアしようとしている課題の先に何を目指しているのかを明確にしていきましょう。

 4.課題発見力の低い人は、短絡的な解決策に走りやすい

 思い付きで課題を設定する人は、安易な解決策に走りやすいです。

 「疼痛が強いから鎮痛剤を増やす」

 間違っているわけではありませんが、短絡的な解決策に飛びつきやすい人はその方法で解決できなかった場合、いきづまって何もできなくなります。鎮痛剤を増やすことで痛みのコントロールはできるかもしれませんが、鎮痛剤そのものも弊害も考慮しないと行けません。もし硬膜外麻酔にフェンタニルなどの麻薬製剤が入っていれば嘔気や眠気などが出現し、逆に離床や休息の妨げになることも考えられます。

 実のところ、この段階のケースは非常に多いように感じます。医療現場では「約束処方」「指示簿」などという、ちょっとした便利な方法があったりします。要するに「痛みが強いときは○○を使う」「熱がある時は△△を使う」など、予め状況に応じて医師から許可がでている薬剤を投与するシステムです。

 これにより原因を考えなくても対処ができるようになります。しかも薬剤の使用が許可されているわけですから、わざわざ医師に報告して相談する手間もありません。

 私の職場でも「指示簿」は活用しています。少し仕事に慣れてきたスタッフが「発熱している患者さんがいるので、指示簿の解熱剤を使います」と報告を受け、「熱の原因は?」とか「最後に解熱剤使ったのはいつ?」とか「腎機能や肝機能に異常はない?」といくつか質問するとその場でフリーズしてしまう人もいます。

 大体この手の質問はルーティンで確認しておくべき項目なので、2~3回質問されれば慣れてくるものです。そうやって少しずつ考慮すべきポイントを学んでいければ良いのです。

まとめ

 課題発見力は看護職にとって、とても重要な能力の一つです。

 課題発見力の足りない人がとりやすい行動は次の4つ。

  1. 問題に気づかない
  2. 問題に気づいても、深く考えない
  3. 思い付きで課題や目標を設定する
  4. 短絡的な解決策に走る 

 ご自身の行動を振り返って、ぜひ課題発見力を磨いていってください。

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