管理職をしていると、特にスタッフからの印象が大切になってきます。管理職でなくても、人と一緒に仕事をする上で、相手からの印象が良い悪いで仕事の能率も職場環境も大きく変わります。
人間関係の構築には「印象」が大切
リーダーや管理職には、スタッフが円滑に業務や看護を達成するマネジメントが要求されます。そのためには、スタッフとの良好な関係性を構築するために相手からの印象はとても大切です。
1.話しやすい(相談しやすい・されやすい)
2.頼み事がしやすい、されやすい
3.困っている時は相手から積極的に支援してもらいやすい
1.コミュニケーションが取りにくい(話しにくい、近づきにくい)
2.効率が悪くなる
3.事故やトラブルが起きやすい
好印象を与えるインプレッションマネジメントとは
インプレッションマネジメントとは「印象を管理する」ことです。
- インプレッション = 「印象」
- マネジメント = 「管理」
堅苦しく感じるかもしれませんが、要するに「自分の魅せ方」という立派なスキルです。
人の印象は【視覚】と【聴覚】から
「メラビアンの法則」をご存知ですか?
基は心理学の世界で提唱されたものですが、今ではビジネス書や自己啓発本でも当たり前のように出てくるものです。
メラビアンの法則では、人の印象や評価をするためにどこからの情報を頼りにしているかを実験したもので、以下のようになっています。
- 【視覚(表情・見た目・しぐさ)】 ・・・ 55%
- 【聴覚(話す速さ・声の大きさ・口調)】 ・・・ 38%
- 【言語(コトバの意味・話す内容)】 ・・・ 7%
人は【視覚】と【聴覚】から人の印象をほぼ評価していると言えます。
ここで注意したいのは、人は視覚からの情報量に多く頼っていますが、見た目が一番というわけではありません。時と場所によっては他の情報が優位になることも十分にあり得ます。
また、印象管理をするためには「プラス面」と「マイナス面」を知っておく必要があります。
視覚の「プラス面」と「マイナス面」
インプレッションマネジメントでも【視覚の印象】はとても大切です。
視覚から得られる情報には「表情」「動作」などがあります。
<視覚のマイナス面>
- 無表情 : 冷たい、悲観的、用心深い、未熟、回避的、無関心、鈍感など
- 緩慢な動作 : 怠けている、だらしない、元気がないなど
<視覚のプラス面>
- 微笑み : 親近感、自信がある、自然体、誠実、優しいなど
- きびきびとした動作 : 活き活きしている、気持ちがいい、集中しているなど
視覚の効果は【組み合わせ】が大切
視覚のマイナス面は単独では良い印象を与えません。しかし、プラスの面と組み合わせることによって別の印象を与えてくれます。
<視覚の組み合わせ例>
- 動作は【緩慢】、表情は【微笑み】・・・落ち着いた印象、穏やかな雰囲気、安静感
- 表情は【無表情】、動作は【きびきび】・・・イライラしている、忙しそう、余裕がない
聴覚の「プラス面」と「マイナス面」
聴覚の要素は「声量」「トーン」「口調」
聴覚は視覚の次に印象に残ります。しかし視覚と違って「二度見」することはできません。むしろ一瞬の出来事による印象への効果は視覚に勝る場合があります。
聴覚の重要な要素は「声量」「トーン」「口調」です。これらにプラス面とマイナス面があります
1.無言の反応(声量):気味が悪い、無視している、面倒くさそう
2.声が小さい(声量):自身がない
3.抑揚のない言葉(トーン):冷たい
4.語尾がきつい(口調):威圧的、イライラしている
1.やわらかい言葉 :親切、受け止めてくれる、親しみを持てる、温かみがある
2.大きい声 :元気がある、自信に満ち溢れている
聴覚の印象を「プラス面」に近づけるには?
聴覚の印象をプラスに働かせるために大切なのは「先ずは声に出して応答(反応)すること」です。
相手の立場に立つと、無言ほどマイナスの印象を与えることはありません。
また、自分の反応がプラスの印象に働いているかどうかを評価するにしても、先ずは声で反応することを意識しましょう。
看護師として働いていると必ず電話での応対をする場面が出てきます。
そして、電話は聴覚だけで相手に印象付ける数少ない場面でもあります。
電話をかける際に及ぼす影響は、「相手の時間と集中力を奪う」ということです。
電話の先で医師や患者さん、家族が何をしているかは見えません。
もしかしたら、とても集中力のいる作業や考え事をしている可能性もあります。
その時間と集中力は割いて貴方の言葉に耳を傾けるわけですから、有意義かつ印象良く話すことが大切です。
また、かかってきた電話の応対についても同様です。相手はとっては大切なことだからこそ、わざわざ電話をしてきてまで話そうとするのです。それを真摯に受け止めているかは話し方や声のトーンだけで決まってしまいます。
<電話で話すときのポイント>
- 相手に敬意を払う(自分のために時間を使ってくれている意識を持つ)
- 声をワントーン高くする(電話の声は低めに聴こえるから)
インプレッションマネジメントで気を付けること
インプレッションマネジメントは「感情のコントールではない」
インプレッションマネジメントはあくまでコミュニケーションスキルの一環です。
相手との良好な関係性を築くために行うもので、自信の感情をコントロールするためのスキルではないことを念頭に置いておきましょう。
魅せるのは「特定の人だけではない」
印象管理において最も大切なのは「いつでも、どこでも、だれにでも」です。
人に寄って魅せ方を変えると、逆効果となってしまう場合があります。
あくまで自分の印象ですので、相手の印象に左右されないように気を付けましょう。
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