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目標管理が苦手な看護師さんに、管理職が教える目標の考え方(基礎編)

目標管理

 皆さん、こんにちは!!

 新年度になると、あなたの職場でも「目標管理」という言葉を耳にするのではないでしょうか?

 新人看護師さんなら当然「目標ってどうやって立てるんだろう?」って悩みますし、意外と中堅の看護師さんでも「目標管理が苦手」って人は少なくないです。

 目標管理が苦手と感じる人の特徴として、目標管理を正しく理解できておらず、「目標管理の考え方がズレてる」ためです。

 ここでは、「目標管理の正しい考え方」についてご説明します。

そもそも「目標管理」って何?

 「目標管理」とは、1956年に経営学者ピーター・F・ドラッカーが著書「現代の経営」の中で発表したマネジメント概念です。

 その主たる目的は、【目標達成】と【業務遂行能力の向上】の2つです。

 「Manegement by Objectives and Self-Control」と言って「目標と自己統制によるマネジメン」が目標管理の本質です。

 つまり目標管理は、目標に対して達成するために主体的に計画を立て、進捗を管理し、組織目標の達成のために創意工夫することを意味します。

「目標管理」と「人事評価」の違いって?

 「目標管理」が「組織内の役割」だとするならば、「人事評価」は「能力の評価」と言ったところです。

 「人事評価」の主たる目的は、【組織として期待している行動や成果を理解してもらう】と【スタッフの行動や成果を適切に評価する】ことにあります。

 人事評価では、目標管理のような具体的な計画ではなく、計画を進めていく中で自分がどのような能力を発揮したのか、組織が求める能力を発揮できたかを評価します。

看護・医療業界の目標管理

 看護業界には「到達目標」という言葉があります。

 到達目標は医療機関がそれぞれに取り組んでいるもので、特に新人看護師さんに対してはこの到達目標を設定しながら研修や育成を行っています。

 厚生労働省が提示している「新人看護職員研修ガイドライン」が、新人看護師さんの「目標の目安」になっているのです。

 このガイドラインの中にも「到達目標」という言葉が書かれています。

 それとは別に各医療機関・施設が掲げている「目標」というものがあります。

これは要するに経営方針とか戦略とか、「医療機関の運営・経営」に関わる目標ですね。

看護部も当然この「目標」に沿って年間目標や計画を立てています。それが各部署の目標に降りてきて、最終的に看護師さん一人一人の目標につながるわけですね。

 要するにも目標管理は「あなた個人の看護師としての目標」ではなく「組織の一員としての目標」を明確にすることが目的なのです。

ですから個人目標を立てる前に、「自分の職場の目標って何?」という所をきちんと押さえておきましょう。

目標管理に書くのは、あくまで「組織の一員としての目標」

 冒頭でお話した「目標の立て方がズレてる」というのはまさにこの点についてです。

あなたが書いた個人目標をもう一度見直してみて下さい。

そこに書かれているのは看護師としての「あなた個人の目標」でしょうか?それとも「病院や自部署の目標達成に向けた取り組み」でしょうか?

 後者であれば特に問題ではないのですが、実際には看護師としての能力やスキルアップを掲げている目標シートを良く目にします。

 ですが、それが自部署の目標達成にどういった利益をもたらすのか明確でなければ目標として掲げる意味は薄くなります。

 もし、どうしても自分のスキルアップを個人目標に掲げたいのであれば、「そのスキルアップを自部署でどう活かすか」まできっちり書きましょう。

目標の「背景」にあるものを理解しよう

 目標管理は医療機関→看護部→各病棟→個人へと降ろされてきます。それぞれの医療機関の目標とは前述の通り経営方針だったり今後どうやって病院を発展させていくかなど、少し抽象的な部分もあります。

 そこから看護部としての取り組み、各病棟での取り組み、個人の取り組みと細分化されていくわけですが、

 その中で大事なのは「なぜ?今、この目標が立っているのか?」ということをです。

 例えば、ある病院が「もっと地域の患者さんを受け入れられるようにする」という目標を立てたとします。受け入れるということは入院患者数を増やすということにつながりますので、看護部は「病床稼働率を上げるために円滑なベッドコントロールをする」目標を立てます。今度は病棟単位で円滑なベッドコントロールをするために「円滑に治療が進み、早期に退院できるように支援する」などの目標が立ってきます。すると看護師個人の目標として「早期退院を目指してカンファレンスを充実させる」とか「患者さんが退院先に困らないように、入院時から退院支援に必要な情報を収集していく」などと書かれるわけですね。

 少し抽象的な部分もあるますが、要するにあなたが立てようとする目標が病院のどのような目標にリンクしていくのかが大切なのです。ここが明確な目標設定だと管理職の人は「おっ!この子ちゃんと考えられる子だな」と一目置かれるわけですね。

目標管理はキャリアアップにつながる

 「こんな看護がしたい」と看護師なら誰しもが考えることだと思います。

 私の経験上、3~4年目に入ると少し視野が広がり自分なりの仕事の仕方やどんな看護がしたいのかを改めて考えるようになる人が多いですね。

 しかし日々の業務に負われたり、そもそも自分の思っている看護とは違う仕事を要求されることは多々あります。

 自分の思う看護が出来ないから転職するという人も少なくないはずです。

私自身3度転職して今の病院に努めていますが、結論を言うと「100%自分の思っている看護はできない」ということです。

 残酷に聞こえるかもしれませんが、これには前提条件があります。それはあなたが「ただのスタッフ」であった場合です。

 考えてみてください。何の権限も突出した能力もない一人のスタッフの言葉に病院という大きな組織がどこまで動かされるでしょうか?

 しかもあなたが自分の思う看護をしたいと言うべき相手は、あなたの何倍、何十倍も経験を積み知識と技術を磨いたプロである主任さんや師長さんです。

 中堅層やベテランの位置にある方なら、新人や後輩が「こんな看護をしたい」と目をキラキラさせながら言ってくるのを優しく受け止めてあげる一方で、

 「まだあなたにはやるべきことがある」と心の片隅で思っているのではないでしょうか?

 自分のやりたい看護を実践していくためには、「キャリアアップする」ことも必要です。要するにあなたに「看護師としての付加価値」をつけることです。

 詳しくは本題と逸れるので話しませんが、目標管理は簡単に言えばあなたの評価・通信簿みたいなものなんです。

 評価が良ければ必然的に特別な仕事を任されたり、専門資格や管理職につけるチャンスが回ってきます。

 仕事を任されるということは、ある程度の権限を与えられることなので、自分のやりたい看護に近づけることができます。

 別に専門資格や管理職に興味ないという方も沢山いますが、日々職場で不平不満を口にするより自分の評価を上げることに一生懸命取り組んで発言権を得ていく方が仕事のやりがいも満足感も格段に増えます。実際私も主任や衛生管理者など職場での権限を与えられてからの方が、自分のイメージに近い仕事ができるようになったと実感しています。

まとめです

 目標管理について少し理解が深まりましたでしょうか?ここで話したことをまとめてみましょう。

  1. 目標管理を書く前に「組織全体の方向性や課題」を把握しよう
  2. 目標管理に書く内容は「あなた個人の看護師としての目標」ではなく「組織の一員としての目標」に目を向けましょう
  3. 目標管理をあなたのキャリアアップにつなげて「自分のやりたい看護」につなげていきましょう

 最後まで読んで頂いて有難うございます。感想や質問をぜひコメント下さい。

 自分の看護師ライフに有意義となる目標を立てていきましょう!!

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